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かすみのスピリチュアル・ジャーニー

かすみのスピリチュアル・ジャーニー

4,人間関係がうまくいかない

あなたはもっと幸せになっていい



4.人間関係がうまくいかない



 一方、職場の人間関係はトラブルが目立つようになってきていた。

 そのときは、自分の価値観が正しいと思い込んでいたので、
周りの人の立場や気持ちが分からず、腹が立って仕方なかった。

 それを隠して、ぎりぎりまで我慢しているのだが、
それが、ちょっとしたことをきっかけに爆発し、同僚と言い争いに
なることもあった。
  
 

当時は、人を一面的に見ていたのだ。

言葉遣いの荒いスタッフがいて、私はいらいらしていたのだが、
うつがよくなるにつれて、その人が、患者さんに対して、どれだけ
よく面倒を見る、情の深い人かが見えるようになった。



 本当は、他のスタッフに対してではなく、思ったように仕事が
できない自分に対して、一番腹を立てていたのだと思う。

 自分を責めているから、他の人の欠点や弱さが許せない。
 
 人が許せないとき、自分の不完全な部分、過去に人を傷つけたことなど、
自分のすべてを許す必要があると思う。

 人が怒りに支配されるとき、そこにうつが隠れていないか
考えてみたほうがいいのではないだろうか。

 怒りとは、つらい、悲しい、助けてほしい、優しくされたい、
というメッセージなのである。本当は、泣きたいのだ。




 職場だけではなかった。

 家族とも口をきかず、仕事から帰ると部屋にこもるようになった。

 家族であっても、しゃべるということ自体が、苦しかった。

 ちょっとした一言で傷ついてしまうし、相手の話を聞いたり、
相手に気を遣って話すということ自体、しんどいと感じるようになった。

 あとになって、両親は私の表情が暗いことを心配していたと聞いた。

 しかし、どう接していいか分からなかったのだろう。



 うつ病の人にどうやって接するかということに、「暖かい無関心」と
いう言葉があるが、特に、両親にはそっとしておいてもらいたい気持ちが
強かったと思う。

 挨拶や優しい表情で普通に声をかけてもらったり、本人の好きな食事を
作ったりといった、なんでもない気配りをしてもらうことが本人をほっと
させるのではないかと思う。
 
 そして、本人のどんな小さな言葉にも耳を傾けて、真剣に聞いてあげて
欲しい。

 もちろん、聞く方の限界もあるだろうから、自分の限界も
伝えながらではあるが、聞こうという気持ちのあることは伝えた方が
いいと思う。

 本人の訴えに、細かいことを言っている、と思うかも知れないが、
それを聞き流したり、本人を説得しようとしていると、たぶん、
本人は何も話さなくなってしまうだろう。

 あきめてしまい、より閉じこもってしまうことになる。



 いつもより細かいこと、どうでもいいようなことで、怒り出すようなら、
本人は非常に傷つきやすい状態にあると思った方がいいかもしれない。

私の場合は、家族や同僚の、小さな失敗やちょっとした気遣いのなさに
対して過剰に反応していた。

 例えば、自分が頼んだことを家族が忘れていたり、
お願いしたことが断わられたということでさえ、
大切にされていない、愛されていない、自分のことを軽んじている、
自分のつらさが理解されていない、証拠であるように感じてしまうのだ。

 他の人にとっては、なぜこんな小さなことでここまで怒るのか
理解できないだろう。

 今まで同じことがあったときには、何も言わなかったのに、と。

 うつの初期に、普段温厚だったその人が、怒りを爆発させるように
なることがある。大声を出すようになることがある。

 本人の性格が悪くなったわけではない。それは、うつなのである。

そうは言っても、家族自身も傷つく。

 そういうときは、本人を責めるのではなく、「悲しい、傷ついた」
と自分も一人の弱い人間であることを伝えることも必要だと思う。
 


 また、友達に対しては、劣等感があるため、会いたくなく、
また、友達の幸せを喜ぶことができず、ますます自分のことが
嫌いになっていった。

 この頃、大好きな友人から結婚の知らせがあったのだが、
どうしても、メールの返事が出せず、苦労してやっとの思いで
お祝いの言葉を書いたのを覚えている。



 私は、援助職についていながら心を病んでしまった自分を
誰かに知られなかった。

 仕事がうまくいかないのは、私の能力が低いからだ、
精神的な弱さがあるからだと思っていたからである。

 患者さんと距離がとれないのは、自分だけの欠点だと
思っていた。他の人はできているのに・・・・。

 「自分だけなんだ」と思った。

 そのため、必死に研修を受けたり、研究会に出たりしていたが、
他の人の話を聞けば聞くほど、自分がダメな気がして落ち込んでいった。
 



 当時、もしも、同じ職種の人にこうした話ができて、
こう言われていたら、違っていたかもしない。

 「私も同じ経験をしたことがあるよ。
 援助の仕事は、セルフケアをしなければ、誰でも心を病む危険性が
 あるんだよ。あなたの能力の問題ではないよ」と。



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